あわびさん日記

〜さもやらぬさえもせぬひびのことやらつらづらと

徳島になにがあるか

この数年、徳島へ、毎年のように行っている。
大学時代の先輩が住んでいるからという理由が大きいのだけど、
徳島という場所自体も気に入っている。

気に入っているのだけど、徳島というのは不思議な場所で、何に気に入っているのかがさっぱり自分でわからない。いつも帰りのバスで「結局徳島のことは分からんな」と思う。「結局なんやねん」、と。こう書くと、地元の人は「何があるのかわからない、じゃなくて何もないんだよ」などと卑下するのだけど、街歩いてても楽しいし、今回食べた牡蠣(正確には香川だけど)やラーメンみたくグルメもあるし、まあ満足なのだから、何かはある。だけど、それが沖縄や、北海道のような観光の盛んな所みたいにドンと中心に据えたものがなく一つ一つの楽しみが散発的なので結局、雲を掴むような印象になるのだろう。

まあ、そんなことを考えながら今回も帰りのバスを待っていると、年の頃、37の僕より少し若いぐらいの女性達が、徳島弁でペチャクチャと忙しくおしゃべりしながらバス乗り場にやってきた。結構なボリュームで話すので、いやでも会話の中身が聞こえて来る。どうも、「大阪に今は住んでるけどまた帰って来るからなー」といった、同窓会のお見送りだったようだ。

バスに乗り込み大阪に帰る人、徳島に残る人。その間で交わされる気取らない飾らぬ徳島弁での「また帰って来るよ」といった挨拶を見てると、あっと気付いた。徳島にあるもの。それは「地元」だった。

僕の地元は神戸だけども、徳島へ行って、物を買ったり街の人と会話したりすると、本当ほっとする。気取らずに済む。普段着暮らしだ。街の店も、お土産屋さんも、観光の盛んな県に比べて全然商売っ気がない。特産物をその値段で売っているだけだ(もちろん味はよく、神戸で買うより断然安い)。そういう素っ気なさが本当に居心地がいい。で、よく調べてみると、散発的には色々見たいものがある。まさに「地元」感覚で遊べる場所。それが徳島なのかなと。

これからも一年に一度ぐらいは「地元」に帰るつもりです。で、また帰りのバスでは首をひねりながら「徳島にはいったい何があるんや」と独りごちたろ、と思ったりしております。まあ、こんなこと書きながら、阿波踊りに行った事ないという徳島ファン失格ぶりですが。