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あわびさん日記

〜さもやらぬさえもせぬひびのことやらつらづらと

ITストラテジスト試験に合格しました。

はじめに

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去年の秋に受験していたITストラテジスト試験の合格証書が本日届きました。取りたかった資格なので非常に喜んでいます。前回、プロジェクトマネージメント試験についてこのブログで勉強法や試験の攻略法を書かせていただいたところ、たくさんの方のアクセスを頂きました。たくさんの人に読んでもらうということは本当にやりがいを感じるものですね。そこで今回もその勉強法を公開させていただくことにしました。

参考書

このようなブログからでも情報は得ることができるのですが、やはりまとまった有意義な情報を効率良く得ようと思えば本を買うことをお勧めします。
少し大きな本屋に行けばIPA資格関係の本はたくさん並んでいて、だいたいの大きさ、値段が同じなので中身も同じに思えるのですが、実は中身は大きく違っていたりします。
私が本屋で比較して購入したのは以下の本でした。

なぜこの本にしたかというと、著者の当試験に対する攻略法が非常にロジカルで明確だったからです。過去問の多さや見やすさを考えれば他の本の方がよかったのかもしれませんが、解答に至るまでのロジック(結構独特のもの)がきちんと説明されており、首尾一貫してそのロジックを使って回答しようとするこの本から学ぶべきことは多かったと思います。そういった意味でこの本をお勧めします。

実際に行った試験対策

はじめに

ITストラテジスト試験は4つの試験区分からなる1日がかりの試験です。それぞれの試験区分ごとに対策方法を記述していくこととします。

午前1

免除がよい

PM試験のときにも書きましたが、免除されているのが一番よいです。特にITストラテジスト試験は午後が大変なので、午前少しでも遅くこれる方が有利になります。実際に私が受けた会場ではほとんどが午前1は免除だったようで、午前1から受けていた人は2、3人だけだったと記憶しています。
それでも午前1からやらなければならない人は、 こんな本もあります。

午前2

過去問対策だけでよい

午前1が免除であったので実際の試験は午前2からとなるのですが、この午前2試験は過去問さえやっておけば大丈夫です。
私もインターネットの過去問サイトで午前2の予習をしていたのですが、本番でも過去問がそのままというのが多く出て少し拍子抜けしたぐらいです。
逆に言えば、過去問をしてなければ、文字面だけでは判断できない、結構難しい問題が出てきます。ぜひ過去問をやっておきましょう。
過去問はサイトであれば、ここを、本であれば、以下がよいと思います。

ITストラテジスト 過去問

午後1

問題選択について

ITストラテジスト試験の本番は午後1からと言っても過言ではありません。それくらい午前と午後の難易度には差があります。
午後1は4問から2問を選んで回答します。問題なのはそれぞれの問題の難易度に差があることです。
問題選択を誤ってしまうと致命的とも言えます。
私が受験したH28年度は問1が各予備校が公開した模範回答がそれぞれ異なっていたほどの難問(悪問)でした。
合格したからよいものの、私がなぜこの問題を選んでしまったのかというと題材が大学のシステムという、イメージがつきやすいシステムだったからです。
過去問もいくつか見てみたのですが、総じて、イメージがつきやすそうなシステムに関する問題ほど、問題としては難しいという傾向がありそうです。(ごめんなさい、全部がそうかはわかりませんし、そういう気がしただけです)
また4問のうち1問はエンベデッド技術者向けに組み込みをテーマとした問題があるのですが、エンベデッド技術者以外も食わず嫌いにならずに選択の対象として問題をきちんと一読することをお勧めします。もうITストラテジストというレベルになってくると、エンベデッド技術者ではないとわからない技術的問題などは出題されないので、案外簡単な問題かもしれません。H28年度は午後1の4問のうち一番簡単だったと言われているのはエンベデッド技術者向け問題でした。

午後1は国語の問題

午後1は完全に国語の問題です。問われていることを文章中の記述を根拠にして答える、まるで大学入試の現代文です。
文章がとても長いのが特徴です。段落ごとに何を書いてあるのかを頭のなかでまとめながら読んでいきました。
プロジェクトマネージャー試験の午後1も国語の問題なのですが、あちらはこれほど文章も長くなく、問題もわかりやすいです。
プロジェクトマネージャー試験よりもこちらの方が難易度が高いです。読解力が試されます。

読解力をつけたいのならば

読解力などと言ってしまえば、それを養うにはかなり時間がかかるように思えるのですが、長い文章を早く読むコツはあります。
少し具体的に言えば、要点を掴み、全体をすばやく正確に理解するためには、文章のどの部分に注目すべきか、どのように補助となる記号を使うか、などのノウハウです。
逆に言えば午後1の試験問題くらい長い文章に対応する場合、そんなノウハウを持っていないと難しいと言えるかもしれません。
世の中には色々な種類の読解ノウハウがあるのでしょうが、私が大学受験時代から使っているのは出口先生のメソッドです。
文章をまるでプログラムのように構造化して全体をすばやく理解する方法はソフトウェアエンジニアにとって理解しやすいメソッドだと思います。
プロジェクトマネージャ試験の合格法のところでも書きましたが、参考書を読んでもコツがつかめないのであれば、大学受験参考書と敬遠せずに、こんな本を手にとってみるのはどうでしょうか?

同じ著者の本ですが、こちらもお勧めします。

午後2

問題選択方法

午後2は論文です。3つのお題目の中から1つを選んでそれについて論述をしていく形になります。
どれを選ぶか、なのですが、実際に自分の業務に近いものがたまたま出ればそれを選べばよいのでしょうが、そんな幸運に恵まれることは滅多にないでしょう。
ただ、3つのお題目のうち1つは毎年かなり汎用的なお題目となっていることに過去問を見ると気づきます。
それは「あなたはこれまでどんな業務を実現/改善するのに、どんな分析手法を使い問題分析を行い、どんなIT手法を使って解決したか」を書けというお題目です。
このお題目が必ずそのまま毎年出題されているかと言えばそうではありません。
ただ、このお題目に十分に答えられるように準備していくと、本番で調整ができるほどのバリエーションが出題されているのです。
毎年尋ねられているのは、このお題目が、ITストラテジストの仕事そのものだからなのでしょう。
私も必ず尋ねられるであろうこのタイプの問題を選ぶことを念頭に準備をすることにしました。

構造メモを準備する

前節で述べたお題目をドリルダウンし箇条書きすると以下の4つの要素になります。

・業務課題の定義
どんな業界のどんな事業目的におけるどんな業務におけるどんなプロセスにおいて、どういった課題があったか?
・課題の分析方法
それを解決するために、どんな手法を使って問題分析を行い、どんな結論を得たのか?(定量的な評価があればもっとよい)
・課題の解決方法
その課題を解決するために、どんな手法(ITだけでないことに注意。人事や制度、業務ルールやプロセスといったものも目を向ける)を使ったのか、そのうちのIT的手法はなんだったのか?
・解決方法の実施、評価、改善点
解決方法の実施にあたって社内でどうコンセンサスをとったか(経営層/事業部門に対する説明、話をどう通したか?)
実施後の評価、見えてきた改善点についての整理

私はこのテンプレートに沿ってこれまでに経験した/参考にする業務事例を整理しました。
これを構造メモと呼びました。
このテンプレートに沿って整理した業務事例はかなり応用の効く論文の骨子になってくれると考えました。

過去問もやって見る

準備時間がない人は仕方がないですが、実際に手で構造メモを基に論文を書いてみることも大事だと思いました。
実際に手で書いた場合どのぐらいの時間がかかるのかを知ることができるのは本当に大事なことです。
私の場合は構造メモを基に過去問が解けることを確認していました。

事例集も読んでおく

いったいどういった論文が合格するのか、その具体例も読んでおきました。

試験本番で構造メモから論文骨子に変換しメモ用紙に記載する

試験本番では案の定出題された準備してきた構造メモに一番合った形の問題を選択しました。
その後、その問題で尋ねられていることを下線を引き明確にしました。
そしてその尋ねられていることへの回答がきちんと含まれていることを確認しながら、
解答用紙に付属しているメモ用紙を使って論文の骨子を書いていきました。

論文は問題イから論述する

論文は問題イから論述するのがよいです。イの次はウ、そして最後はアです。理由は、問題アはだいたい業務の説明で書くべきことは決まっていて、かつ最低文字数の制限がないからです。一番簡単だからです。一番簡単なものを最後に残しておいた方が時間に余裕ができます。またイの書きっぷりによりアで書く業務の内容を少し調整できたりします。ぜひ問題イから記述してみてください。

今回合格した論文骨子

以上のような工夫をして今回の試験に合格することができました。効率よく一発合格できたと考えています。

では今回、実際に合格した論文骨子をここに公開します。
システム自体についてはほとんど言及していないことに注目してください。
この構造メモは平成28年度秋期試験 午後2 問題2に対応したものになります。

問題PDFは以下のリンクからどうぞ。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2016h28_2/2016h28a_st_pm2_qs.pdf

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Ⅰ 事業目標の概要と業務分析が必要となった背景、事業の特性

Ⅰ-Ⅰ 事業目標の概要と業務分析が必要となった背景

A社 後発製薬会社 中国市場へ進出 事業目標:中国市場での売上拡大
中国市場での売り上げが全体の3割を占めるまでに 人件費が高騰 利益率が低下
人材流出が多く、そのたびに売り上げが下がる事態となり問題化
本社のガバナンスを効かせるべく本社IT担当として業務分析を実施

Ⅰ-Ⅱ 業務分析が必要となった背景と事業の特性

製薬会社の営業活動は薬品情報提供者としてのMRが主力 決裁者(医師、薬剤師)との人間関係が大切
中国においては政府高官との関係も大切
それが属人化されている → 共同化が必要

Ⅱ 業務分析の手段と工夫

Ⅱ-Ⅰ 真の問題を発見した手段と工夫 そしてその原因

(一)手段と工夫

業務フロー図、職能関連図の整備
中国の業務を俯瞰し、業務フロー上でのボトルネックを洗い出した
現場ヒアリング
職場でのヒアリングだけでなく、中国で大事なのはお酒の上でのおつきあい。これも積極的に行った。

(二)原因の究明

業務プロセス整備、部署による職能分配はまったく機能しておらず、スタープレイヤーに一匹オオカミ的な動きにより売り上げが成り立っていたことがわかった → ガバナンスの欠如
社内での顧客の取り合いが発生していた → 顧客情報 営業ノウハウの属人化
インセンティブ基準が売り上げの何%というKGIでしか設定されていなかった。

Ⅱ-Ⅱ 問題解決策としてのIT施策

人事再編
勝ちパターンの抽出
KPIの抽出
本社に協力的なスタープレイヤーから営業勝ちパターンをヒアリングし、そのパターンからKPIを設定 → 協力的スタープレイヤーも自分の勝ちパターンが評価基準となり、会社も勝ちパターンを把握することができるWin-Winの関係性に持ち込む
SFAの導入
勝ちパターン、顧客情報の共有化

Ⅲ 投資効果の説明方法と改善点

Ⅲ-Ⅰ 事業部門への投資効果の説明方法

社内に蓄積されている顧客情報の重要性を訴える
人件費高騰を抑制できる切り札としてのプロセス化、平準化
SFAベンダーの力を借りて他業界における取り組みケースを学習
実際に人件費が抑制できたケースを確認

Ⅲ-Ⅱ 改善点

KPI制定時のローカルビジネス特有のことを考慮
政府高官情報の大切さ
セキュリティ
顧客情報へのアクセス権の設定をさらに細やかに
情報入力省力化 ユーザビリティ
どう楽に顧客情報を入力させるかさらなる考慮が必要

以上です。みなさんも頑張ってみてください!