あわびさん日記

〜さもやらぬさえもせぬひびのことやらつらづらと

我々は誰に監視されているか

f:id:naruaki:20131121132356j:plain
 
我々は常に監視されている
 
アメリカや韓国の性犯罪者は足首にGPS付の特殊なアンクレットをつけられて何年間か24時間その居場所を監視されるということを聞いたことがあるが、性犯罪者でないあなたもわたしも実は24時間365日、ある組織にその居場所を監視されている可能性があることを知っているだろうか? 
 
組織の名前は、AppleもしくはGoogle。で、彼らが使う道具はアンクレットではなくiPhoneやらAndroidといった素敵な名前を持っている。
 
iPhoneのお持ちのみなさん、自分が監視されている可能性があるかどうかは、手持ちのiPhoneの設定を見ればわかる。もしiOS7にアップデートされていたならば、設定から「プライバシー」、「位置情報サービス」と進み、位置情報サービス設定画面の一番下にある「システムサービス」をタップ、さらに一番下まで画面をスワイプし、「利用頻度の高い位置情報」をタップしてみればいい。もしこの機能を今まで知らなければえらく驚くことになる瞬間が待っている。なんと、最近このiPhoneを連れて行った「すべての」場所が一丁目一番地単位ですべて克明に記録されていることが示されているのだ。さらには、こっちが許可した覚えもないのに、このような情報をAppleの「マップを改善」するためにAppleが使うことが「できる」設定になっているのだ。
 
AndroidGoogle Mapにしても、やたらと「ログイン」することを促される。そして「ログイン」することによって、他のGoogleサービスで登録されたあなたを特定する情報(GMailを使っていれば人とのやり取り、交遊関係まで!)と紐づけられて、あなたがいつどこにいたのかがGoogleではどこでもわかるようになる。さらにはGoogleGoogle Nowなんていう機能を追加し、あなたのいる場所を元に情報をサーバーから自動的に送り出す、なんて宣伝文句まで言い出している。これ、言い換えるとあなたのいる場所がずっとGoogleさんが監視しているっていうことになる。
 
誰に首輪をつけられるか
 
彼らがなぜこんなにしてまで我々の位置情報が欲しいのか、と言えば、それ自体が莫大な価値を生み出す情報であるからだ。インターネットビジネスの基本はやはり広告モデルだ。そして広告の成功を握るのはターゲティング、つまり目標顧客層の徹底的絞り込みである。東京にいない客に東京にしかない店の広告を出しても無駄だ。テレビなどのマスコミではこの種の広告の無駄打ちがどうしても発生してしまう。最高なのは、神戸市東灘区本山中町の店の情報を神戸市東灘区本山中町の住民とそこによく行く人々に送ることだ。それが、ジオターゲティング広告と呼ばれる手法で、スマホにGPSが突き出した頃から研究されていたものだ。実際、GoogleAppleFacebookなどに登録した年齢や住所、趣味や交友関係などはすべてジオターゲティングに代表される消費層パラメータに数値化され、マーケティングにおけるターゲティングの数値指標として利用され、あなた向けに「カスタマイズ」された広告が表示されるようになる。もちろん拒否することもできるが、拒否するには大体延々とリンクの細道をたどって行く長い旅にでなければならなくなる。

インターネットのほとんどのサービスは「無料」である。ただ、「タダより高いものはない」のはネットの世界にも例外なく適用され、我々は大量の個人情報(出身地、出身校、世代といったあまり変動しないものから、いつどこに行った、どんな情報に興味があった?といった日々移り変わるものまで)をコンテンツ提供者にこちらも無償で「提供」しながらサービスを利用しているのである。ただ、こういった「広告モデル」がなければ無料サービスを受けられないわけで、ユーザーにも利益がある。そして、多くの「広告モデル」サイト運営者は個人情報は法律に抵触しない限りは第三者に提供せず社内で消費者ターゲティングのパラメータとしてだけ利用すると明記していることが多い。であれば、サイト運営者のところだけに我々の首につけられたGPS情報が留まるのだから、まだ安心してもいいのではないかという話をする人もいるのだが、(私にとってはそれ自体もどうかしてると思うのだが)、本当にサイト運営者のところだけに個人情報は留まっているのだろうか?
 

GoogleFacebookなどの大手インターネットサービス会社を通じて、米国家安全保障局(NSA)と米連邦捜査局(FBI)が個人情報を収集していたことが6日、英ガーディアン紙のスクープで明るみに出た。その続報を各メディアが伝えている。

 日本経済新聞の7日夕刊によれば、NSAとFBIが情報収集に利用していたのは、GoogleFacebookAppleなど9社。「PRISM」と呼ばれるプログラムを利用し、電子メールや接続記録のほか、Facebookへの投稿やYoutubeでの閲覧記録などを広範囲に収集し、人物の行動履歴などの監視に役立てていたという。

 この問題に絡み、政府に協力していたとの批判にさらされていたFacebookマイクロソフトは14日、政府による情報提供の件数をそれぞれ公表している。15日配信の日本経済新聞web刊によると、2012年後半に情報提供が求められたのは、Facebookが9000~1万件、マイクロソフトは6000~7000件。両社はサービスの利用実績に対して、要求は極めて少ないと主張している。

http://biz-journal.jp/2013/06/post_2345.html 

 

同じ記事にさらに興味深いことが書いてある。最後に引用しておく。

 

日本人にとっても、この問題は他人事ではない。オバマ大統領は7日、カリフォルニア州サンノゼ市で開かれた集会で記者団の質問に答え、インターネット上の情報収集について『米国市民や米国在住者を対象にしたものではない』と強調している(日本経済新聞8日夕刊)。つまり、情報収集の対象にされたのは、米国から見た外国人。当然、日本人も含まれるのだ。